ふぐの日本昔話 『ふぐ汁』
「ふぐ汁」という日本昔話があるのを知っていますか?
江戸っ子と呼ばれていた時代にもふぐは食されていたのですが、ふぐの毒で死んだ者も多くいました。
ですがふぐの味は、みなさんもご存じのようにとても美味しく、危険を冒してまでも食したい!という気持ちが勝ってしまうほどです。
昔の方もそうだったようです。
ある若い江戸っ子たちが集まって、「ふぐが手に入ったけど、毒があるから食べたくても怖くて手が出せない。どうする?」と話し合っていました。
ある一人の江戸っ子が、「ならば、乞食に味見させて、死ななかったら大丈夫だ!乞食に食べさせてみよう!」と提案します。
皆は、それに賛同し、一人の乞食に「ふぐ汁をたくさん作ったから、食ってみないか?」と話しかけます。
乞食は喜んで、お椀にふぐ汁を入れてもらいました。しばらくして乞食の様子を見に行くと、乞食はぴんぴんしていました。
それを見た江戸っ子たちは、「乞食はぴんぴんしてるし、大丈夫だな!」とふぐ汁をたらふく食べました。
腹いっぱいになった江戸っ子たちは、乞食の前を通る時に大きな声で、「ふぐはやっぱりうめぇな~!」と聞こえるように話すと、乞食ややってきて「だんな方、ふぐ汁をおあがりになったんですか?」と聞きました。
江戸っ子たちは、「おお!食ったとも。味も格別だよ!」と乞食は続けて聞きました。「お身体は、なんともないですか?」「この通り、ピンピンしてるよ!」
それを聞いた乞食は、「ならば、私も安心してふぐ汁を頂きます!」
そうです。毒味をさせられたのは、若い江戸っ子たちだったというお話です。乞食の方が、数倍も賢かったってことですねw